【解説】
 ゲーム世代というのでしょうか、一括りにしては叱られそうですが、リセットすることで生き返る感覚を身につけた子供たちの中で、自分は死なない≠ニいう意識を持つ者が増えているそうです。死≠忌むものとして現実から遠ざけてきた大人にも責任がありそうです。
 ところで曹洞宗の名僧として知られた澤木興道老師の言葉に、「死んでから人生を考えてみればどうでもよかったのである」とあります。私たちがこの世で生きている以上、人との関係性は必要不可欠のものであります。夫婦や親子、はたまた仕事関係のお付き合い、その中に様々な諍いが起こるのもまた必然の事といえそうです。
 さて、私たちはやがてこの世を去らなければならない。それがいつかは判らないがいつその時がきても不思議ではないのが人の命であります。ゲーム世代でなくとも、死不在の生を生きている、死を自覚して日常を生きることは容易ではありません。
 人生の苦悩は結局は人間関係と死が基であって、それぞれの克服を説くのが宗教なのだと思います。
 道元禅師様は、「無常を観ずるとき吾我の心生ぜず」と示されます。私達のいのちは老いも若きも一瞬ごとに刻々と変化し、死に近づいて行く、この事実を知ることが無常を観ずるということでしょう。その思いの中に身を置く事で、傍観者としての冷静な眼を持つことができるということです。「皆、死ぬる人と思えばなつかしい」世は無常だからこそ生ある今を懸命に力を尽くして生きることが出来る。
 「あしたに道を聞かば夕べに死すとも可也」真実を求める心を持つことで、道は近きにあり。

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