【解説】
 ものの本によれば、地球四十六億年の歴史を仮に一日とすると、一人の人の命はたった0.002秒程度なのだそうです。仏教では、時間を表す最小単位を「刹那」といいます。因みに指をはじく瞬間は、六十五刹那あるといわれていますので、人の命もそれよりちょっと長い程度で、まさにあっという間です。ところで、フランスの歴史社会学者フィリップ・アリエスは、人の死には三種類あると書いています。三人称の死、二人称の死、そして一人称の死がそれですが、三人称とはいわゆる他人の死、二人称は家族や親族など親しい間柄にある人の死、一人称は勿論自分の死ということです。年齢を重ねるごとに三、二、一人称の死に出会い、死の受容という心の成長を重ねるわけですが、お経の中に「顧みる人もなく、朽ちた木のような最期を迎える」とあるところを見ると、むしろ人の死を他人事とする心の危うさを説いているのではないでしょうか。
人称に関わらずその時が何時訪れるのか誰にもわかりません。『千の風になって』ではありませんが、死の側から生を考えることで、今この時何をすべきなのか、本当に大切な事は何なのかを今一度考えてみたいものです。

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