【解説】
 百花繚乱の言葉通り、庭の花々が最も美しく輝く季節となりました。
ところで、この美しく咲く花にも香りがなければ、「色あって香りのない花のよう」の例えではありませんが、花の趣きも半減するものでしょう。同じように、日々私たちが出会う素晴らしい言葉も、体験により会得した言葉であるからこそ人に感動を与えるものでしょう。私たちは、それをどの様に生活に生かしてゆくかを考え、また実行することで、芳しい香りを伴った素晴らしい花として花開し、満足感や充実感といった心の果実になるものだと思います。
 「知って行わざるは知らざるに同じ」とは、儒学者 貝原益軒の言葉ですが、善き教えであっても実践行がなければ、仏作って魂入れずと同じことだと思います。
 知識欲という言葉がある通り、もっともっとの執着の心で知識を求めるだけで終われば、それは我欲でしかありません。中国の百丈という禅師様の言葉に「一日作さざれば一日食らわず」とあります。その日一日の労働を怠れば、食事をとるには値しない日。禅師様と呼ばれるほど徳の高いお坊様で、しかも八十歳を超えた年齢にもかかわらず、ご自分の生活に戒めとして善く説かれたる言葉を持ち、また実践されたそうです。学習によって得られた知識を智恵、それを正しい行動に結びつけることが出来れば智慧となるものでしょう。
「座右の銘」という言葉も辞書によれば「修行中の人が折にふれて思い出し、自分の励まし・戒とする言葉」とあります。万巻の書物を読むよりも、わずか一言一句でもその教えを自分の身につけ日常に生かして行こうとする心がけが、果実を実らせる善きご縁となるものと思います。

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