7月31日(月) −とんだ勘違い−
 長い梅雨の合間の炎天下、お寺の周りで草引きをしていたら頭の後ろのほうから「綺麗になったねー」と声を掛けられた。私は咄嗟に「有難うございます。お陰さまで」と感謝の言葉を返した。するとこの時、不思議と身体中が満足感と嬉しさに満たされたような気がした。
 加えてめずらしく雲の少ない青空を背中で感じながら、そろそろ休もうかと音をあげ始めた足と腰はその一言で一気に元気を回復し、つられて手の動きも一層軽やかになった。
 やはり綺麗になった跡形を率直に綺麗と受け止めていただけると、心まで晴れ晴れとするものなのだとしみじみ感じながら草引きを続けた。
 そんな爽快感の余韻もつかの間、先の「」が私の意図するところと全く違っていた事に気付いたのは次の一言。「頭剃ったんだね〜」
 あ!私は全く別のことを考え、見当違いな返事をしてしまった。そして思い違いに気付いたとたん首筋からは別の汗が流れ落ちた。剃髪し仏弟子となった事を喜んでくれた一言には「精一杯修行します」と答えるのが妥当だろう。むむ!
 言い訳に過ぎないが、その時は草引き以外(頭を剃った事実)のことは全く頭に無く、これが本当の“毛頭もない”といったところ。
 もはや掻く髪もない頭を撫でながら反省している図を思い浮かべていただくしかない一人の小僧、剃髪後一週間を経た祐好上座あるがままです。
 「綺麗になったねー」声を掛けていただいたAさんの心に合掌。