10月7日(土)  −寺庭(じてい)研修会−

 5日より一泊二日の日程で東京西麻布にある永平寺別院の研修会に参加しました。
仙林寺だより8月号でもお知らせした通り、ここは弟子裕好さんが上山した修行道場、その師寮寺(出身寺院)関係者を対象にした研修会です。
 銀座線表参道の駅を降りて、ファッショナブルなビル街を抜けるとそこは娑婆の喧騒とは無縁とも思える静寂さに包まれた別天地。別院とはいえ御山永平寺の空気がここには流れている、そんな不思議な有難さを感じたことでした。尚事老師(お寺の事務や渉外担当の老師)のにこやかなお出迎えを頂き、日程説明の後、早速達磨講式(達磨大師の徳を讃えて命日の10月5日に営む法要)に随喜です。まさに少数精鋭、大衆威神力(皆でする修行ゆえに現れる力)の素晴らしさでしょう。時四更(午後四時)を過ぎた頃、薬石(夕食)を頂きます。三心に裏付けされた細やかな心配りが感じられるお膳は、典座和尚様はじめ菜頭寮の皆様が前日から用意されたとの事、あらためて命を頂く有難さを感じます。
 夕食後の維那和尚様(雲水の指導役)の僧堂説明では、子供さんを心配する親心に配慮しながらも、今この時をいかに充実した一日としてゆくのか、親御さん共々の修行を説かれます。(寺院の子弟が多いため)

 開枕(消灯)前の懇親会では、本山でお世話になった老師方との思わぬ所での再会。お蔭様で懐かしい方との貴重な語らいのひと時を過ごす事ができました。
 二日目の朝は、暁天坐禅、朝課如常、綿密な差定(日程)に身を任せる安心感に永平寺修行時代を思い出しました。
 分単位のスケジュールで過ごした二日間、最後はそれぞれのお弟子さんとの茶話会の時間がもたれました。二十代の若者達の中で修行の日々をおくる裕好さん、「人の三倍やらないとついてゆけません」指導役の和尚さんは、真面目さと努力はしっかり見ているようです。緩やかな歩み、緩歩(かんぽ)の積み重ねで十分です。あせらずゆっくり参りましょう。
 帰り道、町並みを眺めて思うことは、拝金主義偏重の異物、六本木ヒルズを目前として己自究明の日々をおくる。慕古の思いの中に、バランス感覚に優れたこれからの僧侶を育てる。古き因習に埋没しない前向きな僧堂の姿を見ることが出来たようなそんな意義深い研修でした。