「喫茶」といえば、今の時代、コーヒーや紅茶をいただく喫茶店をイメージされるのが大方であろうと思われます。実はこお言葉は、臨済宗の開祖栄西禅師の著書「喫茶養生記」により使われたのが始まりで、鎌倉時代に臨済禅と供に中国から伝えられたお茶を飲む行為を指す言葉でした。つまり禅師は臨済宗の開祖というだけではなく、結果的にお茶の開祖でもあったわけです。
 さて、今年も新茶が出回るようになり、私達に口福を与えてくれる好時節となりました。その味と香りもさることながら、最近になって、美容や健康に様々な効果があることも判ってきたようで、ちょっとした日本茶ブームです
禅師も中国での修行の折、このお茶に出会い、その効果の程はすでに実感されていたのかもしれません。坐禅もそうですが、本当に良いものには、科学的根拠は後からついてくるようです。また、禅にはこれに似たもので、「喫茶去きっさこ」という言葉があります。去とは語句を強調する助詞ですから「さあ、まずお茶でも召し上がれ」という意味にとれますが、つまりは何か行動を起こすにも、言葉を口に出すのでも、まず一息ついてからということでしょう。今でも禅寺に行くとまず、お茶を勧められますね、誰であろうと区別をせずに、山門をくぐれば、皆同じ只の人、洗心の態度でお互いに接しましょうということです。
喫茶喫飯きっさきっぱん」茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す、つまりそのこと自体に専一になり、一心に心を整えることが大切だとも言えます。何事もその時点を始まりとすることで、当然失敗も少なくなるのでしょう、始まりといえば「一日の始まりは一服のお茶から」と言われますが、こうしてみると、それらの効果は、体だけではなく、心にも大いに表れるようです。やはりいにしえの知恵は大切にしたいものです。如何でしょうか。