「袖振り合うも他生の縁」、一本の木が立っていた。たまたまそこを通りかかった人がちょっと休もうとした。別の人が、たまたま同じくそこで休もうとした。我々人間の目では、あくまで偶然の出会いに過ぎないのですが、一本の木というご縁が招きよせた必然とも言えないでしょうか。
 「不殺生戒」植物や虫であっても無駄な死を戒める教えです。ましてや親や子、兄弟等は想定外の話でしょう。ところがこの手の事件が後を断ちません。先の言葉の「他生の縁」とは「多生の縁」でもあります。
 草場一壽氏作「ヌチヌグスージ」では、この多生の縁をご先祖様という言葉で表します。「ヌチヌグスージ」は沖縄の方言で”いのちのお祝い・いのちの祭り”という意味です。舞台は沖縄のお墓参り、島独特の大きなお墓に親戚一族が集まります。ご先祖様と食事を共にしながら、悠久の時の流れを感じ、遙かに繋がるご先祖、いのちへの感謝を表します。
 絵本には、両親・祖父母・曾祖父母・・・。広大無辺ないのちの繋がり、広がりを、無数の異なる顔を描く事で表現します。
 ここで、そのいのちの広がりを数字で見てみますと、十代で2000人、二十代辿れば200万人、三十五代で687億人、地球の人口60億人のなんと十倍のご先祖様がいる事になります。決して「他生」ではないことが見えてくるではありませんか。
 草場さんは伝えます。自分自身が奇跡の存在である事、与えられた生命を光り輝きながら共に生き抜くことが「いのちのまつり」であることを。