観音様の正式名称は、観世音菩薩、世の音(声)を観る菩薩と読めます。
普通、音や声は、観るものではなく、聞くものでしょう。ですが、私達が日頃お世話になっている方の中にも聴きながら診る技術を駆使するご職業があります。感の良い方はもうお判りかと思いますが、そうですお医者さまです。聴診器で体からの音を聴きながら、容態を診る。同じように、観音様が観るという救いは、私達の苦しみ悲しみの原因が何処にあるのか、自分勝手やわがままの心から来るものではないのか、しっかりと見聞きして判断するところからきているのではないでしょうか。観音様の中にも、薬王(揚柳)観音様という仏の世界のお医者さまがおられます。揚柳の名が示すとおり、手に持つ柳の枝で悪病を払うと言います。ここで言う悪病とは、心の病「煩悩」を指すものでしょう。勿論心の病を払う事で、身体の病も治癒の方向へ向かう効果も考えられます。
 さて、お医者様の使う言葉に「プラシーボ効果」があります。いわゆる偽薬の事ですが、先生を信じ、絶対治ると信じる事で小麦粉と食塩水で作っただけの物が薬として効果を示すことがあるそうです。
 この絶対信じる事を仏教では信仰と言います。信仰の心を持つ事で、私達は副作用の無い万能薬を手にする事ができます。逆を言えば信仰に目覚める事の無い人生を送れば、安心お薬を頂く機会を失うという事です。菩薩様のお姿を仰ぎ見て、いつかはあの様にとのあこがれを持つ心が、信仰の入り口かもしれません。