先日、別当になっている薬師如来様の祭礼に参りました。ところで、お祭りに集う皆さんはお賽銭をあげて何を祈るのでしょうか、良いお嫁さんが来るように、お孫様の合格祈願、腰の痛みが何とかならないか等々、お願いばかりが先立つようです。仏様の拝み方なる本があるとすれば、真っ当な著者は第一番にお願いではなく感謝する心が大切と記すのではないでしょうか。
 次にその感謝の仕方です。良き事が起これば感謝の心も生じるものとの考えから、感謝の心で生活するからこそ良き事が起こるというように方向性を百八十度変えてみます。つまり感謝の心で満たされた毎日を送ろうと念じる心がけが習慣化されると、例え好まざる結果が訪れても「しょうがない」先を向ける対象がしっかりする。とは言え、西洋の神様のように「○○の神の思(おぼ)し召しだから」と言うのではなく、お薬師さまのお陰で今の生活があると考えれば、道を外した生活にはならないはず。わき道に逸れる事がなかった上での不慮の出来事であれば「しょうがない」も「お陰」と落ち着く事ができるような気がするのですが如何でしょう。
この落ち着き先が見つけられれば、薬師様のお出でになる場所が自ずと見えてくるはず。外の対象に憧れを抱きながら、実は外に求めるものではない事に気付くのが仏教の考えです。
 ところで薬師如来の脇を固める仏様は、日光・月光菩薩です。昼夜を問わず瑠璃の光に照らされている事の表れでしょうが、それは私たちの日頃の行いまた身に訪れる出来事をも全てを含む意味でしょう。
 別の名を大医王如来、お医者さまです。健康保険の破綻が危惧される昨今です。「病気にならない生き方」という本がベストセラーになっているようですが、病気にならないよう心身を整える術を与えるのもお医者様のつとめでしょう。
 アメリカでは、加齢による様々な病の予防知識を持つ抗加齢医学専門医が脚光を浴びているようです。日本でも先日、第一回抗加齢医学専門医認定試験が実施されたようで、三百人以上の医師が試験に挑んだとのニュースを目にしました。予防医学の世界も政府の意思に後押しされるが如く、活発な動きを見せる気配です。
ただここで、仏の世界のお医者様はこちらの世界での抗加齢(アンチエイジング)医学を目指すのではなく、加齢による病も起こるときには起こるだろうと「お陰様でしょうがない。」
「抗う」のではなく「請がう」心の指向性をご指導下さっているように感じるのですが…。