![]() |
| 多くの参拝者の目を楽しませてくれた境内の白木蓮が、昨年の暮れ事故に遭い重症、手当ての甲斐もなく黄泉へ旅立ちました。享年およそ三十年の生涯でした。ご冥福をお祈り致しまして草木塔の一木へと名を連ねます。 さて、ぽっかりと空いてしまった席を埋めるように、ご縁は突然やってきます。四十九日を待たずに鎮座いただくのは若干気が引けましたが、これもご縁です。新たな庭の彩りは、香りも芳しい「蝋梅(ろうばい)」です。その名の通り蝋細工のような美しい黄色い花、そして素晴らしい香りは、一気に春を運んできてくれるかのようです。花にもよおされて季節がやってくる、“花は無心にして蝶を招き、蝶は無心にして 花を尋ぬ”という良寛様の詩が思い出されます。観音様のお傍で、人の目を楽しませよう、良い香りを嗅がせてあげようなどというはからいのない無心な蝋梅の姿に、かえって思いを巡らしてしまう自分があります。山川草木悉有仏性。折角咲いた花の芽を啄ばみ散りじりにしてしまう鶫にも仏性はあるようです。合掌。 |