20日のお中日を除き、比較的穏やかな天候だった今年の春彼岸でした。恒例の“小さな美術館”は「わだばゴッホになる」の名言で知られる棟方志功版画展を開催しました。
個人蔵の作品展ですので、大作と言えるものはありませんが、16点ほどの作品は菩薩様あり教会ありで、バラエティーに富む構成となりました。ご覧になる方それぞれの感性で好みの一作を見つけて頂ければ、見るから観るへと審美眼の奥行きが増すものと思います。

『驚いても オドロキキレナイ。喜んでも ヨロコビキレナイ
悲しんでも カナシミキレナイ。愛しても アイシキレナイ』

 と語る棟方に、研ぎ澄まされた感性を持ち合わせたゆえの心の葛藤、そしてその心情表現として、鬼気として彫り込む版画の世界に絵画以上のリアリティーさを感じます。
氏は晩年「木版画」を「板画」と書き換えていたと言います。大仏師(だいぶっし)が丸太の中にほとけを見るように、木板の中に何者かを観じていたのかもしれません。
『この道より我を生かす道なし、この道をゆく(武者小路実篤)』が座右の銘、小品ながらもそこから溢れ出る迫力は、そんな気概から来るものなのでしょうか。