昨年八月に永平寺別院での修行を終え、半年ほど起居を共にした裕好さんですが、この度、二箇所目の修行道場「瑞応寺」への安居となりました。
 十日、早朝六時に仙林寺を出発、仙台空港から大阪伊丹を経由して一路松山へ、JR松山駅から新居浜へは電車で一時間半ほど、十四時の上山にようやく間に合うという、行程八時間の長旅でした。
 私自身も、瑞応寺への拝登は初めてで、上山して二年目になるという雲水さんに山内を案内して頂きましたが、大きさ云々というよりは、古僧堂の趣きとでも言いましょうか、修行するための場所という空気がありありと伝わって参りました。ただ、すぐ側の幼稚園からは子供達の元気な声が響きわたり、厳しい修行道場にあって何となく心和む雰囲気も感じられます。
 今年春の上山者は十三名ほどとの事、ほとんどの雲水が始めての修行の中、経験者の裕好さんは、仲間から頼られる事も多いのかもしれません。どの様な状況にあっても自分を見失う事無く、しっかりと足元を見据えたご修行であることを望むばかりです。
 二十三日、無事仮入堂(かりにゅうどう)※をした旨の葉書が届きました。元気でご修行に励んでいるようです。
※仮入堂―旦過寮詰(道場の基本を叩き込まれる場所)の期間を耐え抜いた者は、晴れて仮入堂の資格が与えられます。 仮入堂とは、修行の根本道場である僧堂への出入りを許され、雲水の一員に加えられたということなのですが、あくまでも仮であって、本採用とは言えません。 それ故に仮入堂を許された新参僧をあくまで暫定的に採用したという意味で「暫到(ざんとう)」と呼びます。しかしながら、この仮入堂の前夜、その旨を伝えられた時、長い修行生活の中でも最も感激の深い喜びの一瞬として、いつまでも心に残るものです。